<樹状突起反射のメカニズム>
普通の場合:侵害(痛み)刺激によって生じる起動電位は、侵害受容線維を介して後根神経節付け根で活動電位(インパルス)に変換後、脊髄後角に達し、視床を経由して大脳皮質体性感覚野に到達した時、痛みの感覚が生じます。
樹状突起反射時:
痛み刺激による起動電位は、樹状突起反射により、樹状突起分岐部から逆行性にも伝わります。
無髄C侵害受容線維末梢終末部(ポリモーダル受容器)からは、脊髄内終末から放出されるのと同じ伝達物質、CGRPPや発痛物質なども分泌され、血管が拡張します。
この発痛物質を他の侵害受容器(ポリモーダル受容器)が反応し、他のC神経経由で伝達します。
樹状突起の分岐部から、他の分枝に起動電位が逆行性に伝導する(---樹状突起反射)ので、侵害受容線維は遠心性神経的な機能もあるのです。
これは 「神経伝導の3原則」 というのがありますが矛盾するものではありません。
「神経伝導の3原則」 は
1)絶縁伝導:
1本の神経線維が興奮しても隣接する他の神経線維は興奮しない。
2)不減衰伝導:
軸索の直径が一定ならば興奮の大きさは減衰せず一定の大きさで伝導する。
3)両側性伝導:
一点を刺激すると興奮は両方向に伝導する。但し生体内では不応期があるの
で両方向性には伝導せず一方向に伝導する。
と言うものです。
2)の不減衰伝導は活動電位(インパルス)のことであり、軸索伝導のことです。
ここで取り上げている、樹状突起の起動電位のことではではないのです。
樹状突起の起動電位は活動電位ではありません。
起動電位で逓減型です。 つまり、アナログ信号で途中減衰もします。
3)の両側性伝導ですが、原則神経伝導は両方向ですが、 神経細胞膜(信号を伝える部位)には「不応期」 と言うものもありますので、片方にしか伝導しません。
またこの樹状突起反射は神経末端の出来事で、樹状突起分岐点までが、求心性伝導で、分岐点で、遠心性伝導になります。
この軸索反射(樹状突起反射)は案外多くのケースで考えられます。
平たく言うと、自分の痛みで炎症を起こし、その炎症反応を自分の同じ神経が拡散し、また、それに自分の別の神経が反応している状態です。
痛みが痛みを呼び、炎症が炎症を呼ぶ状態になっています。